高校生ケアラーは20人に1人、学業などへの影響懸念も

高校生のうち、20人に1人は家族の介護などを担うケアラーの可能性があるとする調査結果を、大阪歯科大の濱島淑恵准教授や関西学院大の宮川雅充准教授らがまとめた。調査では、高校生のケアラーの約半数が、3年以上にわたって家族の介護などを担い続けていることも明らかになった上、長引く介護が生徒の生活の質や学業、健康面に悪影響を及ぼしている可能性も指摘された。調査を実施した研究者らは、教育だけでなく、福祉医療などの分野からの若いケアラーの支援こそが必要と訴えている。

調査は2016年、大阪府内の公立高校10校で実施。5246人から有効回答を得た。

回答者のうち、家族らのケアに取り組んでいる高校生は272人で、全回答者の5.2%となった。濱島准教授らは、この272人の高校生ケアラーに具体的なケアの内容について詳細に調査を行った。

その結果、ケアする相手で最も多かったのは「祖母」の129人。以下は、「祖父」(61人)、「母」(55人)、「弟・妹」(43人)、「父」(27人)などの順となった。

■週4日以上のケアが半数近く

ケアの頻度について尋ねた質問では、最も多かった答えは「毎日」で33.5%。以下は「1カ月に数日」(18.4%)、「週に2~3日」(14.0%)、「週に4~5日程度」(11.8%)で、週に4日以上、ケアをしている高校生が半分近くであることが分かった。また、1日当たりのケアの時間では、「1時間未満」が最も多かった。ただし、1日4時間以上のケアに取り組んでいる人も一定数おり、特に学校がない日では、4時間以上のケアに取り組む高校生ケアラーの割合は22.8%となった。

■6年以上、ケアをし続けている例も

ケアに取り組んできた期間では、具体的な年数を回答した198人のうち半数以上が3年以上と回答。なかには6年5カ月と答えた高校生ケアラーもいた。

主なケアの内容では「家事」や「力仕事」、「外出時の介助・付き添い」などが多かった。また、「感情面のサポート」や「身体的な介助」もあった。

また調査では、▽偏差値ランクの低い高校ほど、高校生ケアラーの存在割合が高い傾向が見られる▽家族以外でケアについて相談する相手は主に友人や学校の先生。福祉介護の専門職に相談する高校生ケアラーは、ごく少数―といったことも明らかになった。

■「ヤングケアラーを直接救えるのはケアマネ」―濱島准教授

濱島准教授は、「過去の調査などでは、ケアに時間を取られるため通学できなくなったり、介護に耐え切れずに家出をしたりした高校生もいたと聞いた」と指摘。高校生などのヤングケアラーは、これまで考えられていた以上に深刻な状況に置かれている可能性が高いとし、より大規模な調査で実態を正確に把握する必要があるとした。

また、濱島准教授は、高校生ケアラーの多くは、家事支援や外出支援など、介護そのものではないケアを行っている場合が多いため、教職員でもその実態に気付きにくいと指摘。その上で、「こうしたケアラーの状況を直接救えるのは、やはり、介護のプランを立てるケアマネジャー。ヤングケアラーの生活環境にまで配慮したプランを検討するのは、大変なことかもしれないが、ぜひ、心掛けてほしい。環境改善が難しいなら、せめて、ヤングケアラーの話を聞いてあげてほしい」と訴えている。

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