徘徊で行方不明になるおそれがある高齢者を見守るため、東京都江東区は、GPS(衛星利用測位システム)端末を無料で貸し出す事業を始めた。事業費として、国の「地域支援事業交付金」の一部を活用する。早期の発見や身元の特定などにつなげることで、高齢者の家族ら介護者側の負担を減らすことが目的。
介護者はスマートフォンなどを使って、端末を携帯している高齢者の現在位置を確認したり、あらかじめ指定した範囲の外に出ると、電子メールの自動通知を受け取ったりすることができる。
対象者は、外出に不安のある65歳以上の区民。台数は計84台で、貸与期間は原則3カ月までとなっている。申請時には、印鑑と申請者の顔写真付きの身分証明書、対象者の写真が必要だ。
台数に限りがあるため、貸与を希望する介護者は、区内21カ所の地域包括支援センター(長寿サポートセンター)に相談した上で、同センターの職員による訪問アセスメントを受ける。区では、「他の自治体では、端末を提供しているところもある。利用状況を見た上で、事業の恒久化も検討したい」としている。
区では、GPS端末での発見が困難な場合などを想定し、衣類に張りつけて使用する「高齢者見守りアイロンシール」も発行。シールには、同センターの情報システムにひもづいた個人番号が記されており、身元の特定などにつなげることが狙い。こちらは、各センターにそれぞれ100人分が用意されている。