加齢によって心身が虚弱するフレイルは、中長期的に要介護状態や死亡など自立喪失のリスクとなることが、東京都健康長寿医療センター研究所の追跡研究によって明らかになった。
研究では、群馬県の高齢男女約 1500 人を平均 7 年間追跡し、フレイルによる自立喪失のリスク上昇の程度を調べた。その結果、男女ともにフレイル群とその予備群は、フレイルなし群と比較して自立喪失発生率は有意に高率となった。統計解析の結果、フレイル群では、フレイルなし群と比較して自立喪失の発生リスクは約 2.4 倍と推定。また、前期高齢者と後期高齢者とにわけると、フレイル群の自立喪失発生リスクは、前期高齢者で約 3.4 倍、後期高齢者で約 1.7 倍となり、前期高齢者では自立喪失へのフレイルの影響がより大きいことが明らかとなった。
フレイルは、体重減少や日常生活活動量の減少、筋力の低下などによって評価される。フレイル状態になると、病気にかかりやすくなり、死亡率の上昇や身体能力の低下が起こるとされているが、これまで日本人高齢者を対象とした追跡研究は少なく、フレイルの中長期的な予後は不明だった。
今回の研究成果により、フレイルの進行を先送りさせる組織的な働きかけによって、高齢者の健康寿命延伸の可能性が高まると考えられるという。
◎東京都健康長寿医療センター プレス発表資料
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/images/press/pdf/press20171114.pdfa>