自立支援による高齢者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減の実現に向け、厚生労働省と経済産業省は12日、ロボット技術を利用する介護の重点分野として、新たに1分野5項目を追加したと発表した。見守りや移動支援など、ロボット介護機器による情報を活用した新たな支援システムの開発につなげるため、「介護業務支援」が新規分野として加わった。
両省は2012年11月、ロボット介護機器の開発や実用化を支援する重点分野として、▽移乗介助▽移動支援▽排泄支援▽認知症の方の見守り―の4分野5項目を位置付けた。その後、14年2月に「入浴支援」を加えた5分野8項目に対象が広がった。今回は2度目の改訂となる。
今回は、移動支援分野に「高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器」が加わったほか、排泄支援分野には、「ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器」と「ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器」の2項目が追加となった。
また、認知症の方の見守りに関しては、分野名を「見守り・コミュニケーション」に改めるとともに、「高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器」が新規項目として加わった。
政府が今年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」では、これまでの重点分野を再検証した上で、今後の方向性をまとめ、来年度以降の新たな開発支援に反映させるとしており、今回の改訂は、企業と介護現場の関係者でつくる厚労省の協議会の提案や経産省の実証実験の結果などを踏まえて実現した。
経産省では今後、財政支援や情報提供などで企業側の開発をサポートする一方、厚労省側は、実用化に向けた環境の整備などを支援するとしている。