愛媛県は、このほど、「河内晩柑」の果汁飲料に認知機能の維持・改善効果があるとして、県内の大学や企業と共同で特許出願を行ったと発表した。
河内晩柑はザボンの一品種で、収穫量の63%を愛媛県が占める。その河内晩柑の果皮に多く含まれる機能性成分「オーラプテン」(AUR)に脳内の炎症を抑える作用があり、認知症予防に有効であることが判明したという。
AURは、柑橘類に特有の機能性成分で、抗菌作用があることが知られている。松山大学薬学部による研究で、モデルマウスの脳海馬内におけるAURの抗酸化作用を調べたところ、認知症の進行に関わるミクログリア細胞の活性化を抑制し、脳保護作用があることなどがわかった。さらに、愛媛大学医学部がヒト介入試験を実施し、AUR強化飲料(AUR:6mg/本)と対照飲料(AUR:0.08mg/本)とを毎日1本125ml6ヵ月間飲んだ人を対象に、飲用前後に認知機能検査を行ったところ、AUR強化飲料群では飲用後に認知機能スコアが改善した。
河内晩柑に含まれるAURは、県内の柑橘類20種のうち最もAURが多い八朔と比較しても、3倍の濃度を示していることから、河内晩柑は認知症予防に有効と結論。河内晩柑果皮入り飲食品とその製造方法とで特許を出願した。