国立がん研究センターによる調査報告書によると、専門的ながん医療を行う病院で75歳以上のがん患者の割合が増加していることがわかった。また、部位や病期によっては、積極的な治療を行うことが難しい「治療なし」に該当する人の割合が、若い年代よりも高いことも明らかになった。
調査は、がん診療連携拠点病院をはじめ、全国の専門的ながん医療を行う病院の患者情報によるもので、2015年の1年間に診断された患者の診療情報と、2008年の1年間に診断された患者の5 年生存率をまとめた。
それによると、がん診療連携拠点病院などに登録する患者の施設別平均年齢は2009 年以降高くなっており、2009年は67.2歳だったのが2015年は68.5歳だった。施設別にみた75歳以上の登録患者の割合も2009年の33.0%から2015年の36.5%へと増加した。
今回の調査では、高齢化が進む中、高齢者のがん治療状況を把握するひとつの資料として、胃、大腸、乳房、肝臓、肺の主要5部位に食道、膵臓など7部位を加えた12部位について、診断時の年齢が40歳以上であった例の病期分布や病期別の治療方法について特別集計を行った。その結果、部位別に年齢階級別登録数を見たところ、65歳未満(子宮頸部では40歳未満)の割合が2012年以降減少し、高齢患者の割合が増加していた。 病期分布をみると、年齢が高いほど、比較的進んだ病期の登録が多く、 75歳以上の高齢のがん患者では、併存疾患の有無、全身状態などから若い年代と同様の積極的な治療を行うことが難しいことも推測された。
◎国立がん研究センター プレスリリース
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/press_release_20170809.html