高齢の運転者による交通事故対策を議論してきた警察庁の有識者会議は、6月30日、防止策についての提言をとりまとめた。
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今年1月より5回にわたって開催された会議では、認知症など運転リスクへの対応を主に議論が進められた。
認知症については、今年3月に施行された改正道路交通法で、免許更新時や違反行為をした際に行われる認知機能検査で「認知症のおそれ」と判定されると、医師の診断を受けることが義務付けられた。診断の結果、認知症と判断された場合、運転免許の取り消しまたは停止となるが、会議では、診断が出るまでの間に事故を起こすことへの懸念から、運転を断念させるべきとの意見も出た。提言では、認知機能検査で「認知症のおそれ」と判定された場合、都道府県警察の運転適性相談窓口と市区町村の担当部署や地域包括支援センターなどとの連携をさらに強め、早期の診断・対応を図っていくべきとしている。
高齢ドライバーは反射神経の鈍化や筋力の衰えなど、加齢に伴う身体機能の低下によっても事故を起こすリスクが高まる。そこで、それぞれの運転能力に応じて、自動ブレーキなどの先進安全技術が搭載された高齢者が操作しやすい自動車に限定したり、運転可能な地域や道路を制限したりする「限定条件付免許」についても導入することを検討すべきとした。運転リスクが特に高い者に対する実車試験の導入の可否を含め、運転免許制度の在り方について調査研究の実施も提言している。
◎警察庁 高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議資料
高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議
高齢運転者交通事故防止対策に関する提言(概要)