神奈川県は、「平成21年度における県内高齢者虐待の状況(平成20年度の比較)」を発表した。
今回の調査の特徴としては、家族等による虐待では、息子と夫を合わせた数が386人と、2006年の調査開始以来最多を記録。また、経済的虐待が前年比約2倍の伸びを示した。
詳細を見ていくと、家族などによる虐待通報件数は962件と前年より11件増えているが、報告件数は577件で前年より5件少なくなっていて、総数ではそれほど増えてはいなかった。
虐待を受けた高齢者の性別は男性138人、女性455人と圧倒的に女性が多く、虐待をする側(複数回答)は、息子256人(44.4%)、夫130人(22.5%)と男性が7割を占めている。家事や介護に不慣れで孤立しがちな息子や夫が、母親や妻を虐待する傾向が以前から指摘されているが、前年より男性の虐待人数は1割ほど増えており、その状況は悪化していることがうかがえる。
虐待の種類(複数回答)では、預金を引き出すなどの経済的虐待が162件と、前年の88件からほぼ2倍近く増え、28.1%にのぼった。リストラなど、経済的に苦しい状況が、家族介護の中にも影を落としていると言えるだろう。
殺傷事件に発展する痛ましいケースも度々報道されており、男性介護者への支援はまだまだ不足していると言えそうだ。