川崎市は、6月21日、在宅介護支援現場で、軽度から中度難聴者の高齢者との対話の改善に向けた実証実験を行うと発表した。
市内の在宅介護支援事業所とベンチャー企業との共創型プロジェクトによるもので、聴こえに支障がある高齢者との対話を改善する実証実験は、政令市規模では全国初の試みだという。
超高齢社会が進んでいく中、加齢による聴力の低下は社会との関係への疎遠につながることが懸念されているが、軽度・中程度難聴者の補聴器の所有率がわずか14%という統計データもある。今回の実験では、難聴の高齢者に対し、話し手側が支援機器を装着し「聞き取りやすい音や声」を提供することで、聞き手側の負担なくコミュニケーションの改善を図る。
実験で話し手側が装着する支援機器は、ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社の「comuoon mobile(コミューンモバイル)」。コミュニケーション支援機器を使用することで、軽度から中度難聴者(25~69db程度)であれば、補聴器を装用せずに「聴こえ」を改善することが期待できるという。
実験期間は、6月21日から9月下旬までの間の約3ヵ月間を予定しており、介護事業所のスタッフが難聴の在宅高齢者約30名に機器を使用する。試用の結果、コミュニケーションがスムーズになった人の割合や、機器利用によって生まれる効果などを収集する。