肉や乳製品など欧米型の食事が、がんや循環器疾患による死亡リスクを下げる傾向にあることが、国立がん研究センターの調査で明らかになった。
調査の対象は、岩手県や沖縄県、高知県など1府9県、10保健所管内に住む40~69歳の男女約8万人。食事調査票から「健康型食事パターン」(野菜、いも類、海そう類、脂の多い魚、緑茶など)、「欧米型食事パターン」(肉類・加工肉、パン、果物ジュースなど)、「伝統型食事パターン」(ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類など)の3つの食事パターンを抽出した。それぞれのパターンをスコア化し、スコア毎に4つのグループに分類。約15年追跡調査し、その期間に発生した「全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡、心疾患死亡、脳血管疾患死亡」との関連を調べた。
その結果、健康型食事パターンのスコアが高いグループでは低いグループに比べ、全死亡のリスクは約2割、循環器疾患死亡のリスクは約3割低下していた。欧米型食事パターンでは、スコアの高いグループほど全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡のリスクが低下する傾向がみられた。伝統型食事パターンと死亡リスクとの関連はみられなかった。
肉類や加工肉は全死亡のリスク上昇との関連が報告され、欧米型の食事は健康に悪いと思われがちだが、本調査の結果では、欧米型の食事が、がんや循環器疾患による死亡リスクを下げる傾向にあるとわかった。日本人は欧米人に比べ肉類の摂取量が少ないこと、コーヒーや乳製品などの好ましい効果によって全死亡および循環器疾患死亡のリスクが低下したと考えられるという。
◎国立がん研究センター 食事パターンと死亡リスクとの関連について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7899.html