一般社団法人 日本介護支援専門協会は「かかりつけ医の連携効率を向上させるICTの活用方法に関する研究」の結果を公表した。この取り組みは厚生労働省から委託された平成28年度 老人保健健康増進等事業 事業報告書に盛り込まれる。
本研究では、糖尿病の情報について、かかりつけ医と介護支援専門員(以下 ケアマネジャー)がICTを使ってやり取りを行い、実際にどの程度、連携効率が向上するかを検証した。
現状、医師とケアマネジャーは、看護師や療養者家族等を通じて情報を交換することが多い。しかし、ICTシステムを使用することは、互いに直接情報を伝えることが可能になり、看護師や療養者家族等を通じて情報を交換するよりも情報連携の効率がよいということがわかった。
ケアマネジャーからは「疾患や服用している薬についてなど、療養者の医療的な情報が役立った」という声があり、医師からは「食事などの生活面や、症状の変化についての情報が役に立った」という意見が挙がった。
また、伝える情報が病気のステージなどにより体系化されるだけでなく、ステージごとに伝達すべき情報が規定されているなどの構造化がされていると、「療養者の進行の全体像と、現在どの位置にいるのかについて理解しやすい」「療養者や家族への説明に利用できる」という意見も挙がった。
一方で、実際にICTを使う場合に「介護記録ソフトや電子カルテ等に情報を二重に入力する必要がある」「書き込まれた情報の緊急性、重要性が簡単にわからない」などの声もあり、記録業務の負担感の増えるICT導入は「現場に受け入れられにくい」という意見も。
今後、医療と介護の情報連携のICTシステム化を進める場合、「情報の二重入力などが発生せず、一度入力した情報の使いまわしが可能である」「血圧計のアプリケーションなど、他のアプリケーションとの連動」等は最低限の条件であることがわかった。また、「現場の多職種が、導入により業務負担が軽減した」と実感できる完成度でなければ受け入れられないことを確認できたことが、今回の研究事業の一つの成果となった。
◎一般社団法人 日本介護支援専門協会
http://www.jcma.or.jp/news/association/post_740.html