2017年8月より、70歳以上の高齢者における医療費の自己負担限度限が段階的に引き上げられることが決まり、厚生労働省は12月22日、見直し内容に関する事務連絡を関係団体あてに発出した。
高額療養費制度は、医療費の自己負担が重くなりすぎないよう、月ごとの自己負担限度額を超える部分について保険者から償還払いされる制度。
現行では、70歳以上で現役なみ(年収370万円以上)の所得がある場合、外来でのひと月の自己負担の上限額は44,400円。これが2017年8月には57,600円に、さらに2018年8月には所得区分を細分化し、各区分に応じた限度額に引き上げられることになる。
年収156万〜370万円の一般所得者も引き上げの対象だ。現行では12,000円だが、2017年8月には14,000円、2018年8月には18,000円に引き上げられる。ただし、1年間(8月〜翌7月)の外来の自己負担額の合計額には14.4万円の上限を設けた。
(厚労省事務連絡より)
あわせて、高額介護合算療養費制度についても、現役なみ所得者では上限額が引き上げられる。
この制度は、医療保険と介護保険における1年間の自己負担の合算額が高額な場合に負担を軽減するためのもので、70歳以上の現役なみ所得者の場合、現行の上限額は67万円。
しかし2018年8月以降は、年収370万〜770万、年収770万〜1,160万、年収1,160万以上の3つの区分に分けられ、上限額はそれぞれ67万円、141万円、212万円となる。
高額療養費制度については、制度の持続可能性を高めるため、世代間・世代内の負担の公平や、負担能力に応じた負担を求める観点から、社会保障審議会医療保険部会で算定基準額の見直しが議論されてきた。
先般、来年度の予算政府案が閣議決定したことを受け、今回、見直し内容の発表に至った。今後、厚生労働省は、関係政省令の一部を改正したうえで、追って改正の内容などを正式に通知する予定だという。
◎事務連絡
高額療養費制度の見直し内容について(PDF)