慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室(三村將教授)の岸本泰士郎専任講師らは、診断と治療の両面において、精神科領域における遠隔医療の有用性を臨床研究として国内で初めて実証した。
研究グループは認知症の診断に用いられる「長谷川式簡易知能評価スケール」を、高精細なビデオ会議システムを使って遠隔で実施。対面時と同等の精度で診断できることを証明した。
また、一般的なインターネット回線を使ったWEB会議システムを使って病院と患者宅をつなぎ、遠隔で心理治療を行った結果、治療効果が不十分だった強迫症患者の症状が改善したことも確認した。これらの結果により、患者の外出がむずかしい状態で、診断が困難な場合や、病院に専門家がいないときにも、遠隔で行う診療が有用であることがわかった。
海外の一部の国では、すでに遠隔での精神科医療が普及しつつあるという。医師の偏在、高齢化など課題を多く抱える我が国でも、今後、遠隔医療の役割が高まることが予想され、今回の研究成果は、精神科領域で遠隔医療を実現する有用な指標のひとつになると考えられる。
◎慶應義塾大学 精神科領域における遠隔医療の有用性を実証
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2016/11/30/161130_1.pdf