うっ血性心不全の急性増悪で入院した患者において、「認知機能障害」と「低栄養状態」が、入院時の摂食嚥下障害を予測する因子であることが、東北大学の上月正博教授のグループの研究によって明らかになった。
うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能の低下によって肺や下半身に体液が貯留し、肺水腫や下肢の浮腫が生じる疾患のこと。
この疾患を有する患者が急激に悪化して入院した場合、摂食嚥下障害による誤嚥性肺炎合併や低栄養状態があると、病態や生命予後に悪影響を及ぼすおそれがあるため、摂食嚥下障害の早期発見と介入が重要となる。
そこで研究グループは、うっ血性心不の急性増悪で入院した患者を対象に、摂食嚥下障害の併存率とその予測因子について調査を実施。
その結果、摂食嚥下障害は38.6%に認められ、「認知機能障害」と「低栄養状態」が摂食嚥下障害の併存に関わる因子であることがわかった。
研究グループは、「認知機能障害」と「低栄養状態」が入院時の摂食嚥下障害を予測する因子であるが明らかになったことで、摂食嚥下障害の早期が発見しやすくなり、誤嚥性肺炎の予防や入院期間の短縮、生命予後の改善に寄与する可能性があると指摘している。
◎東北大学 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/12/press20161214-01.html