緑茶の品種のひとつ「サンルージュ」に加齢による認知機能の低下を抑える働きがあることを、日本製紙株式会社が九州大学(立花宏文教授)との共同研究で明らかにした。
これまで、緑茶を習慣的に摂取することで認知症の予防効果があることや、緑茶成分と脳機能との関連についてさまざまな研究結果が報告されている。緑茶には、日本で栽培される茶の面積の7割以上を占める「やぶきた」をはじめ、「おくみどり」「さやまかおり」などの品種があるが、日本製紙では、高機能茶「サンルージュ」に着目。九州大学と共同研究を実施し、認知症予防効果を検証した。
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アルツハイマー型認知症などでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内において減少する。サンルージュは主要緑茶43品種の中で、神経伝達物質「アセチルコリン」を分解する酵素「アセチルコリンエステラーゼ」の働きを阻害する効果が最も高く、「やぶきた」の4.4倍、最も低い「さえみどり」の10倍以上の効果を示すことが確認できた。また、老化促進モデルマウスを用いた試験では、サンルージュの継続的な摂取により、加齢による長期記憶能力の低下が抑制されること、学習能力の低下が抑制されることが明らかになり、その効果が「やぶきた」よりも高いことが確認できた。さらに、サンルージュは、認知症を引き起こす原因物質とされるアミロイドβの脳への蓄積を抑制することや、アミロイドβの蓄積に関連する遺伝子の発現に影響を与えることも確認できた。
今回の試験で行ったサンルージュの成分分析では、「ケルセチン」や「ミリセチン」といった植物由来の機能性成分を多く含むことが明らかになり、これらの成分が認知症予防に効果を発揮するのではないかと考えられるという。
サンルージュは、農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門が育種した高機能茶品種。挿し木増殖が難しいという課題があったため、同社では、農水省の基礎研究推進事業に協力し、同社独自技術「容器内挿し木技術」を活用したサンルージュの挿し木増殖法を開発し、サンルージュの普及に取り組んできた。
サンルージュには、抗疲労・抗ストレス作用やメタボリックシンドロームの予防効果があることも確認されていることから、今後、同社が展開するアグリ事業にてサンルージュの機能性を広める活動を行い、早期の普及に向けた取り組みを進めていくという。
◎日本製紙 ニュースリリース
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