11月10日に開かれた成長戦略の司令塔である未来投資会議のなかで、安倍総理は、2020年までに「予防・健康管理」と「自立支援」に軸足を置いた新しい医療・介護システムを本格稼働させることを表明した。健康寿命を延伸させるとともに、重介護者数を減少させ、社会保障費の抑制につなげたい考え。
中心となるのが、人工知能(AI)やデータなどの活用だ。
医療の分野では、カルテ・レセプトのデータ化は進みつつあるが、標準化や複数のデータベースの横断的な利活用はほとんど未着手の状態が続く。これらのデータを分析し、全国津々浦々で、個々人の状態に応じた予防や治療が可能になるような基盤の整備に乗り出す。
また、AIを活用した診断支援や、ITを活用した遠隔診療、健康維持に対するインセンティブの設置も検討していく。
介護の分野では、要介護者の減少に向け、自立支援に向けた取組みの強化をはかる。
安倍総理は、これまでの「高齢者ができないことをお世話することが中心」の介護から、「高齢者が自分でできるようになることを助ける『自立支援』に軸足を置く」と言明。
見守りセンサーやロボットなどの開発・導入を促して介護職員の負担を軽減するとともに、要介護度が改善すればインセンティブを与える。職員にとっても、要介護度が下がることが達成感につながり、働きがいを感じられるようになるのではないかと期待される。
これらの改革に向けて政府は、特定の先進事例を予算で後押しするだけでなく、報酬や人員配置基準でもって進めていく方針だ。
塩崎厚労大臣は会議の中で新しい医療・介護システムを稼働させるための工程表を提示し、2020年に向けて、医療・介護分野で足並みをそろえて進めていくことを説明した。まずは2018年度の診療報酬・介護報酬のダブル改定に向けて、インセティブの検討や、AIを使った診療支援技術の確立、ケア内容の分類などに取組む予定だ。
◎首相官邸 未来投資会議(第2回)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai2/index.html