高齢者が使用する「入浴用いす」で、転倒事故の危険があるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。
洗い場に腰をおろしにくい人も、安定した姿勢で体を洗うことができる入浴用いす。使用する人にあわせて脚の高さを調節できるものが多く、介護、転倒の予防に用いられ、介護保険の福祉用具購入対象用品となっている。
同センターでは2011年度以降の5年間で「いすの脚が短くなり転倒した」など、脚の高さを調節する機構の不具合と考えられる事例6件を把握。そのうちの1件は、転倒により、けがを負っていた。原因として、脚の高さ調節機構にある金属製のバネにさびが発生し、変形したことで、高さ調節機構が固定できなくなったことが考えられるという。
今回、センターでは、一般家庭や介護施設で1年以上使用していた入浴用いすの提供を受け、使用状態などの調査を行った。その結果、34脚中7脚で脚の高さ調節機構のバネにさびが発生しており、それらにはいずれも鉄製のバネが使用されていた。また、使用期間が短いいすでもさびが確認された。さらに、市販されている10銘柄で腐食促進試験を行ったところ、鉄製バネを使用していた2銘柄でさびが発生し、実使用を想定した耐久性試験でも鉄製バネを用いた2銘柄でさびが確認された。
センターでは、消費者に対し、入浴用いすの脚の高さ調節機構が破損していないかよく確認し、バネにさびが発生している場合は使用の中止を呼びかけるとともに、ステンレス製のバネのものを選ぶことをアドバイスしている。また、業界や事業者に対し、脚の高さ調節機構に使用するバネは、さびにくい材質に改良するよう要望し、取扱説明書にさびの発生に関する注意表示や、点検実施を励行する表示、バネの材質を記載することを求めている。
◎国民生活センター 発表情報
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160915_2.html