順天堂大学は10月5日、同大大学院医学研究科の田平客員教授(認知症診断・予防・治療学講座)らの共同研究グループが、「アルツハイマー病のワクチン治療に新たな道筋をひらく研究成果を得た」と発表した。
アルツハイマー病の予防・治療法として期待されるワクチン療法だが、先行する研究では、原因と考えられる老人斑アミロイドの除去には成功しても神経細胞死が増加。副作用として自己免疫性脳炎が起こるなど、有効性は認められなかった。
今回、研究グループは、飲むワクチンを新たに開発。老齢サルで、脳炎や消化器症状などの副作用を示さないことを確認した。同時に、老人斑が消失する反面、神経細胞を傷つけ、細胞死を引き起こす毒性物質オリゴマーが増加することを発見した。
アルツハイマー病の原因となる老人斑には個人差があるが、おおむね50代から出現する。つまり、老人斑のできる前(50歳ころ)にワクチンを投与すれば、有毒なオリゴマーを増やすことなくアルツハイマー病の発症を遅らせることができると考えられる。また、老人斑出現後にワクチンを投与する場合には、オリゴマー除去の抗体による後療法との組み合わせが有用と推察できる。
これはアルツハイマー病のワクチンの副作用を防ぐ新しい考え方であり、研究グループでは、今後、飲むワクチンとオリゴマー除去の抗体を併用した新たな治療法の治験を行い、有効性と安全性を精査していくという。
◎順天堂大学 プレスリリース
http://www.juntendo.ac.jp/news/20161005-02.html