国民生活センターは、9月8日、60歳以上の消費者トラブルの変化と実態を分析したレポートを発表した。
それによると、契約当事者が60歳以上の相談は、2015年度は全体の約34%となり、約29%だった2015年度の1.2倍になった。
一方、相談内容は5年前と比べて大きく変化し、金融商品などの不意打ち的な勧誘に関するトラブルは減少し、自発的に取り引きを行う通信販売に関する相談が増加した。
さらに、どの年代においてもアダルトサイトなどのデジタルコンテンツや、光ファイバー、携帯電話サービスなどの情報通信関連の相談が増加しており、特に60歳代でこの傾向が顕著となった。一方、80歳以上では判断能力が不十分な状態での契約トラブルも多く、年代によって消費者トラブルの内容に違いがみられるようになっている。
相談を販売購入形態でみると、60歳代では「通信販売」が最多で、「店舗購入」が続く。70歳代では「店舗購入」が最多で、次いで「通信販売」となり、80歳以上では「訪問販売」が最多で、次いで「電話勧誘販売」の相談が多くなっている。
相談内容の特徴としては、60歳代ではインターネット通販や架空請求など情報通信に関連する相談が多い。70歳代では60歳代に比べて電話勧誘や訪問販売の相談が多くなる一方、情報通信に関する相談も多い。80歳以上では、電話勧誘や訪問販売の相談が多く、情報通信に関する相談は60歳代・70歳代に比べて少なくなっている。80歳以上では、新聞や健康食品、修理サービスの相談が多いのも特徴だ。
5年前と比べて、60歳以上のすべての年代で契約当事者本人からの相談の割合が増加しており、2010年度と2015年度を比較すると60歳代では約86%から約90%に、70歳代は76%から約82%に、80歳以上は約50%から約58%に増加した。
レポートでは、高齢になるほど増加する電話勧誘販売や訪問販売に関するトラブルには、巧妙な手口による勧誘も少なくなく、本人による対処が困難になりがちであることから、周囲の人や最寄りの消費生活センターに相談すること、通話録音装置などの防犯アイテムを利用することをすすめている。
◎国民生活センター 報道発表資料
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160908_2.pdf