学習療法に1年間取り組んだ認知症高齢者と、取り組まなかった認知症高齢者とでは、介護の手間を表す「要介護認定基準時間」で、要介護度「1」に近い差が出ることが、9月12日、公文教育研究会の調査で明らかになった。介護費用でも約20万円の削減効果があったという。
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公文教育研究会は、施設に入所する認知症高齢者を、学習療法を実施する群と実施しない群とに分け、その効果を比較した。学習療法を実施する群では、1年間、読み書きや簡単な計算などをしてもらった。
その結果、学習療法を実施した群では、要介護認定基準時間が1年後ほとんど変わらなかったのに対し、実施しなかった群では悪化。その差を要介護度で表すと、「1」近い差だった。介護費用でみると、実施群では、1人あたり1年間で平均20万円近い削減効果があったという。
また、同じ施設で健常高齢者向けの認知症予防プログラムも実施。週1回5ヵ月間の通いで、認知機能の維持・改善が認められた。
施設職員へのアンケートでは、対象者の認知機能が回復し、ケアが容易になったと実感。対象者や同僚とのコミュニケーションも活性化していると回答した。学習療法の導入が、職員のやる気につながり、ケアの質向上を実現していることが示唆されたという。
◎公文教育研究会 プレスリリース
http://www.kumon.ne.jp/press/Pp8059.html