入所者の要介護度の維持・改善率が高い施設ほど、ケアの質も高いことが、認知症介護研究・研修大府センターの伊藤美智予氏らの調べでわかった。施設を選ぶ際の参考にできそうだ。
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ケアの質を評価しようとする際、そのデータをどのように収集するかが課題となる。そこで研究チームが試みたのが、要介護認定のデータ活用だ。
ある県に所在する6つの特別養護老人ホームを対象に、1年間に要介護度が維持あるいは改善した入所者の割合を算出。同時に、その結果を知らない3名の調査員が、訪問調査でケアプロセスの評価を行い、2つがどの程度相関するのかを分析した。調査員は、「食事」「入浴」「排泄」「移動」「機能訓練」「職員と利用者の相互からみた雰囲気」「総合評価」について6段階評価を行い、訪問調査終了後には6施設を「相対評価」で順位づけした。
その結果、要介護度の維持・改善率が高い施設ほど、「食事」「排泄」「機能訓練」「職員と利用者の相互からみた雰囲気」「総合評価」「相対評価」の評価も高いことがわかったという。
調査員による訪問調査にはおよそ4時間が費やされたが、要介護度の維持・改善率が包括的なケアの質をとらえているのであれば、全国の特養のケアについて、要介護度という既存データで評価できるようになるかもしれない。
◎日本老年学的評価研究(JAGES)プレスリリース
http://www.jages.net/#!untitled/cl20