先進国で死因の上位を占め、高齢者に多い慢性閉塞性肺疾患(COPD)の新たな治療法へとつながる研究成果が報告された。
国立長寿医療研究センター老化機構研究部の杉本昌隆室長らと順天堂大学、三重大学が行った、肺組織の老化細胞に関する研究による。
肺の老化は、慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)が生じやすい環境をつくることが知られている。細胞は障害を受けると老化し、増殖を停止する。このような「老化細胞」は人間やマウスなどで加齢とともにさまざまな組織に蓄積するが、組織の老化に老化細胞がどのように関与するのかについては明らかではなかった。
今回、研究グループは、新たに生体から老化細胞を特異的に排除することができる遺伝子改変マウスを作製。このマウスを用いて肺の老化に老化細胞が重要な役割を持つことを明らかにした。これは、老化細胞を排除することで、加齢により低下した肺組織の機能を回復させることが可能であることを示す。
研究成果は、COPDをはじめとする呼吸器疾患の予防や治療法の開発に新たな道を切り開くことが期待できるという。
◎国立長寿医療研究センター ニュース&トピックス
http://www.ncgg.go.jp/research/news/20160810.html