指定訪問介護、通所介護を行う株式会社日本エルダリーケアサービスは、同社が認知症の介護方法として取り入れている「引き算方式」の考え方を広める活動を始めた。
「引き算方式」とは、700件以上の認知症の方の実例をもとに、同社の認知症専門相談員の右馬埜(うまの)節子さんが提案する介護方法。認知症の人が思い込んでいることを正したり、説得したりする事、すなわち正しい情報としての「今」を知らしめようとすることは、いじめであり混乱を来たすとして、たとえ事実と反していても受容し対応していくという考え方。
ひとは、生まれた時から多くの学習を重ね、知能を獲得していく。しかし、脳の病気によって蓄積した知能を失うことがある。この蓄積を〈足し算〉とし、消失を〈引き算〉と考えた。
引き算の世界に入ると、情報の混沌・遮断から自分を取り巻く「今」を正しく理解することができなくなり、日常生活に支障が出る。従って現実離れした言動が増え、いわゆる“訳のわからない人”になってしまう。認知症の人には、同じ世界で付き合う事こそ肝要だという。
現在、認知症高齢者は約170万人に上り、15年後には約300万人を超えると予想されているなど、認知症は身近な病気となってきている。しかし、いまだ理解し難い病気と捉えられ、介護面でも敬遠されがちだ。
そこで同社は、冊子『認知症介護 引き算のすすめ≪心得10カ条≫』を作成し、同社の各営業所や、認知症相談センターのWEBサイト(認知症の専門医である「あしかりクリニック」院長、芦刈伊世