加齢に伴って筋肉量が減少し、筋力や身体機能の低下をきたした状態を指す「サルコペニア」。サルコペニアが起こる原因はよくわかっていないが、解明に近づく新たな研究結果が報告された。
報告したのは、東京都健康長寿医療センター研究所の重本和宏研究部長と米国カンザス大学医学部の西宗裕史准教授らの共同研究グループ。
グループは、運動神経と骨格筋のつなぎ目の神経筋接合部の「アクティブゾーン」の分子構造が、加齢による筋力低下や筋萎縮に伴って変化することを、世界で初めて明らかにした。
脳からの運動命令の神経伝達は、脊髄の運動神経細胞を経て、アクティブゾーンから骨格筋に伝わる。そのため、サルコペニアの予防や治療法を開発する際には、このアクティブゾーンの分子構造の変化を指標とすることができそうだ。
またアクティブゾーンは、脳内の中枢神経細胞の神経伝達部位にもあることから、今後、サルコペニアと認知症の因果関係を解明する重要な手がかりとなる可能性もあるという。
◎東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/images/press/pdf/press20160630.pdf