クラウドによる服薬管理で、高齢者に多い過剰摂取や飲み忘れなどのリスクを減らし、地域の適切な支援も期待できることが、日立システムズとクラリオンとが行った実証実験にて示された。
日立システムズでは、クラリオンが開発した服薬支援装置「服薬支援ロボ」を活用し、服薬履歴や残薬情報を遠隔地で参照できる仕組みを提供する「服薬支援クラウドサービス」を2015年10月から販売している。今回、茨城県笠間市で同サービスを試験導入し、服薬支援の効果と同市が運用する「介護健診ネットワーク」との連携の実証実験を行った。
実験では、市内の居宅療養患者3名に「服薬支援ロボ」を提供し、適切な時間に必要な量だけ服薬できる環境を整えた。また、同市が運用する要介護者の緊急連絡先や要介護認定状況、健康診断結果、ケアプラン、お薬手帳などの情報をクラウド上に集約した「介護健診ネットワーク」との連携により、同市のスタッフや薬剤師、患者の家族、地域の介護・医療関係者が、要介護者の服薬履歴や残薬の情報を参照できるようにした。
その結果、自分で薬が飲めなかった患者が自発的に薬の服用が可能になったほか、予定時間に服薬されなかった場合も、人感センサーによって患者がロボットの前を通過したときに再度服薬のアナウンスが行われることで飲み忘れを防ぐこともできた。
また薬剤師は、「介護健診ネットワーク」を通じて要介護者が予定通り服薬したかを確認。人感センサーの反応履歴を確認することで、居宅療養では把握しにくい患者の活動量などより正確な状態の把握も可能になった。
同社では、今後「服薬支援クラウドサービス」を本格展開することで、患者の適正な服薬を支援するとともに、地域包括ケアシステムの関係者の負荷軽減に貢献していくとしている。
◎日立システムズ ニュースリリース
http://www.hitachi-systems.com/news/2016/20160623.html