厚生労働省は9月8日、「療養病床の転換意向等調査」の結果を発表し、介護療養病床廃止後の予定は未定と回答した施設が約6割に達していることが明らかになり、2011年度末が予定されていた介護療養病床の廃止は実質、不可能な状況が判明した。
医療療養・介護療養病床を有する医療機関を対象に行われた調査は、今年度実施された診療報酬改定前後の1月と4月の2回にわたり、両回とも約5,000施設から回答を得た。
調査結果では、今年3月末までに介護療養病床から転換した20,906床のうち、老健施設に転換したのは5%(1,112床)である一方、医療療養病床への転換は85%(17,765床)を占めた。
介護療養病床から医療療養病床へ転換した理由では「転換前の介護療養病床の入院患者の状態像に、医療療養病床が適していると判断したため」が68%とトップで、「医師、看護職員を確保でき、必要な診療体制を確保できたため」26%が続いた。
1月調査で79,096、4月調査で84,787が対象となった介護療養病床のうち、「介護療養病床廃止後の予定は未定」とした施設は、2回の調査のいずれも約6割に達した。
診療報酬改定後の4月調査で、医療療養病床からの転換予定が“現状維持”もしくは“未定”とした理由では、「24年度の医療・介護報酬同時改定の方向性をみてから判断したいため」が58%、「懸念事項があるため転換できない」が52%となり、“懸念”する内容は「地域で療養病床が必要とされているため、転換が困難」が72%、「転換にあたって、療養病床利用者の転院先、受け入れ先を見つけるのが困難」が55%だった。
フリーワードで寄せられた意見では、「国の方針が明確でないため、病床転換の方向性が見出せずにいる医療機関も多い。医療や介護の現場の状況を的確に把握しながら、明確な国としての方向性を早急に示してほしい」といった声があがった。