東京都健康長寿医療センター研究所はこのほど、同研究所と帝京平成大学の共同研究グループが、高齢者の夜間頻尿の緩和に軽微な皮膚刺激が効果があることを明らかにしたと発表した。
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高齢者に多い夜間頻尿は、生活の質を低下させ、転倒による骨折リスクの増加につながると報告されている。夜間頻尿の主な原因のひとつに、自分の意思とは関係なく膀胱が収縮する過活動膀胱(OAB)があるが、現状では適切な対処法がない。
研究チームでは、これまでに麻酔動物モデルを用いた実験で、ローラーによる会陰部への軽微な刺激が排尿収縮を抑えることを見出した。刺激にはローラーの接触面の素材が関係していた。そこで今回、ローラーによる刺激が高齢者の夜間頻尿にとって有効となる可能性について調べた。
研究には、夜間頻尿をもつ79歳~89歳の女性24人が参加し、就寝前に1分間、ローラーによる刺激を自分の会陰部に与えた。ローラーは2種類を使用し、やわらかいエラストマー表面のローラー(アクティブ刺激)と、かたいポリスチレン表面のローラー(プラセボ刺激)とを比較。休止期間をはさみながら3日間ずつ2回行い、その間の夜間の排尿回数の変化を評価した。
その結果、全研究プロセスを終了した22人のうち、OABのない参加者13人ではアクティブ刺激とプラセボ刺激の影響に差はなかったが、OABをもつ参加者9人では、アクティブ刺激はプラセボ刺激に比べて夜間の排尿回数が0.6回減少することがわかった。
このことから、やわらかい素材のローラーによる軽微な皮膚刺激は、OABに起因する夜間頻尿に効果があると考えられ、高齢者の夜間頻尿をセルフケアするツールとして期待できるという。
◎東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/release/index.html