安倍総理は6月1日の会見で、消費税率10%への引き上げを、2019年10月まで再延期することを表明した。世界的な需要低迷と成長減速を背景に、世界経済が不透明感を強めており、内需を腰折れさせかねない引上げは延期すべきであるとの判断に至った。
一方で、育児支援や介護離職ゼロに向けた施策は、予定通り実施していく構えだ。
10%引き上げについては、2014年に一度先送りした経緯がある。
以来、安倍総理は再延期はしない考えを示していたが、今回再び延期に至ったことについて、会見では「これまでの約束とは異なる『新しい判断」』と説明した。夏の参議院選挙では、この『新しい判断』に対する国民の信を問うかたちとなる。
ただ、増税延期で懸念されるのが、社会保障関係だ。
安倍総理は、「給付と負担のバランスを考えれば、10%に引き上げた場合と同じことを全て行うことはできない」と述べ、施策については優先順位をつけて取組んでいくことを示した。
なかでも、保育士や介護職員の処遇改善など、一億総活躍プランに関する施策については、財源を確保して、優先して実施していくという。子育て支援や「介護離職ゼロ」に向けた介護の受け皿50万人分の整備についても同様だ。
3年半のアベノミクスにより、国・地方の税収は、合わせて21兆円増加した。安倍総理は、次の選挙で自民・公明・与党で過半数の議席を獲得できれば、増税関連法案を秋の臨時国会で成立させるとともに、大胆な経済対策を打ち立て、税収をさらに増やしていきたい考えだ。社会保障についても、その税収をもとにさらなる充実をはかっていくという。
◎総理官邸 平成28年6月1日 安倍内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0601kaiken.html