日本糖尿病学会と日本老年医学会は、5月20日、高齢の糖尿病患者を対象とした血糖管理の目標値を発表した。
従来の糖尿病患者の血糖コントロールの目標値は、血糖正常化を目指すケース、合併症予防のケース、治療強化が困難なケースの3分類で、年代による区分はない。
しかし高齢者は、心身機能の個人差が著しく、認知機能の障害につながる重症低血糖を起こしやすいなどの問題があることから、両学会による合同委員会にて高齢者に特化した目標値の作成を検討してきた。
委員会では、高齢者向けの目標値の考え方として、○年齢、認知機能、身体機能(基本的ADLや手段的ADL)、併発疾患など患者の特徴や健康状態を考慮して個別に設定すること○重症低血糖が危惧される場合は目標下限値を設定してより安全な治療を行うこと○高齢者では、目標値や目標下限値を参考にしながらも個別性を重視した治療を行う観点から、柔軟に行うことの3つを設定。
それらに基づき、認知症やADLの程度、併発疾患などから患者の状態を3つのカテゴリーに分け、さらに重症低血糖を引き起こしやすい薬剤を使用している場合としていない場合とに分類し、それぞれに「HbA1c」(血中グリコヘモグロビン濃度。長期的に見た血糖状態が把握できる)の数値を策定した。
高齢者は、血糖値の高い状態になっても、低い状態になっても、認知機能の低下につながることがある。委員会では、治療目標についても、高齢患者の状態やサポート体制なども見極めながら個別に設定することが大切としている。
◎日本糖尿病学会 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=66