福祉医療機構は、4月25日、2014年度社会福祉法人の経営状況について分析結果を公表した。
分析の対象としたのは、同機構の貸付先で、社会福祉法人新会計基準を採択している4,419法人。従事者の人数別では、49人以下が38%、 50人以上99人以下が28%、 100人以上149人以下が 14%、 150人以上が20%で、従業者数99人以下の中小規模の法人が7割弱を占めた。主とする事業別では、介護保険事業が45%、老人福祉事業が3%、保育事業が31%、 障害福祉事業が6%、その他が3%、複合型が2%だった。
社会福祉法人の収益性の指標となるサービス活動収益対経常増減差額比率(比率が高いほど良。以下、経常増減差額比率)は平均4.1%で、主とする事業別では、障害福祉サービス主体の法人が6.5%で最も高く、介護保険事業が主体の法人は3.5%で最も低かった。
赤字の法人は全体の23.9%だが、介護保険事業主体法人は赤字法人の割合も27.4%で、他よりややきびしい状況にあった。赤字法人の割合が低いのは、障害福祉サービスの14.7%、複合型法人の20.9%だった。
赤字の主な要因は、サービス活動収益が低いことで、サービス活動収益の規模が大きいほど経営が安定している傾向がみられた。
一方、サービス活動収益と経常増減差額比率にさほど相関がみられなかったことから、社会福祉法人はスケールメリットにより得られた経常増減差額を、収益を生み出すことが困難な事業や職員の処遇改善などに充てる傾向にあると分析。
また、従事者1人当たりの人件費別に法人の経営状況を比較したところ、従事者1人当たり人件費が高い法人ほどサービス活動収益規模も大きいとの結果が得られた。
これらのことから、社会福祉法人の経営の安定性を高めるには、複数事業の展開などによるサービス活動収益規模の拡大がひとつの方策であることが示唆された、と分析している。
◎福祉医療機構 プレスリリース
http://hp.wam.go.jp/Portals/0/docs/press/prh2806.pdf