高齢者の残存歯が19本以下になると、体重減少や「やせ」のリスクが高まることが、浜松医科大学などの研究によってわかった。
研究は、日本老年学的評価研究の一環として、浜松医科大学、千葉大学、東海学園大学、国立長寿医療研究センター、神奈川歯科大学、愛知学園大学が共同で実施した。
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高齢者の体重減少や「やせ」は、死亡や要介護のリスクを高めると考えられており、リスク対策には、体重減少などと関係する要素を明らかにすることが必要となる。
そこで、研究グループでは、歯の本数に着目。65歳以上の男女約10万人の大規模データを用いて、「残っている歯の本数、食品の摂取頻度」と「最近6ヵ月の体重減少と『やせ』」との関連を検討した。
その結果、約3分の2の人が残存歯19本以下であり、歯が19本以下の人は20本以上の人と比べて調査時6ヵ月間の2~3kgの体重減少のリスクが男女ともに約1.2倍だった。
また、6ヵ月間で体重減少のない人で見ると、男性の場合残存歯19本以下では「やせ」(BMI18.5未満)のリスクが約1.5倍高かった。女性では残存歯19本以下であること自体はリスクにならなかったが、残存歯19本以下で果物・野菜を毎日摂取していない場合、「やせ」のリスクが約1.2 倍に上がった。
これらの結果から、研究グループでは、高齢期の体重減少や「やせ」の予防には、定期的な歯科健診や歯の治療など適切な口腔ケアを行うこと、残存歯が少ない場合は、調理法を工夫するなどして十分な栄養を摂れるよう心がけることが大切と訴えている。
今回の研究は一時点のものだが、今後追跡調査を行い、歯の喪失と体重減少や「やせ」が要介護に及ぼす影響を調べることを検討しているという。
◎浜松医科大学 プレスリリース
https://www.hama-med.ac.jp/mt_files/pressrelease_tooth_160415.pdf