国立長寿医療センターは、このほど「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル第二版」を公表した。
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認知症の症状によって障害される日常生活活動の中でも、とりわけ自動車の運転は、本人にも周囲にも大きな危害をもたらす可能性が高い。マニュアルでは、認知症の種類別に自動車運転に関するトラブルと運転の中止へとつなげた介入例を紹介。それぞれの診断や治療、ケアのポイントを解説し、早期診断へとつなげることで、運転事故の未然防止に役立てることができる。
認知症の種類別の注意点として、○アルツハイマー型認知症は、運転時に行き先を忘れる、駐車や幅寄せが下手になりやすい○レビー小体型認知症は、集中力に変動が出るため、運転技術にムラが出る○前頭側頭型認知症は、交通ルールの無視や運転中のわき見が心配○血管性認知症は、運転中に注意力散漫になりやすく、ハンドルやギアチェンジなど運転操作が遅くなる、というように、どのような支障が起こりやすいかを解説。センターラインを超える、路側帯に乗り上げる、車庫入れに失敗するなど、認知症が原因で失敗することが多い運転行動のチェックリストも参考になる。
免許の返上を拒否するなど、認知症高齢者に運転をやめさせることの困難さが言われている。マニュアルでは、運転を移動手段だけではなく、楽しみや生きがいとしている人も多いため、地域活動への参加など運転に替わる楽しみを見つけていくなど、当人の心理を理解したうえで介入することの大切さを説いている。
◎国立長寿医療研究センター 長寿政策科学研究部「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル©」
http://http://www.ncgg.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm