東京都はこのほど、「福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議」の最終報告書を公表した。
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同検討会議は、2015年7月から2016年2月まで8回にわたって開催され、都の特性を踏まえた地域包括ケアシステムのあり方を、「医療と介護」「介護予防と生活支援」「高齢期の住まい方」の3つのテーマに分けて議論してきた。
報告書では、議論の内容を、○高齢期の住まいの確保と住まい方の支援○介護予防と支え合う地域づくり○認知症の人にやさしい地域づくり○在宅療養環境の整備○地域に密着した介護サービス基盤の整備○時代のニーズに応じた規制の見直し○介護人材の確保・育成・定着○仕事と介護の両立支援の8つの論点に整理し、それぞれの課題解決の方向性をまとめている。
なかでも高齢期の住まいの確保についてはページの多くを割いており、政府が検討する「日本版CCRC構想」に触れ、米国をモデルとする高齢者の地方移住は東京では機能しにくいとし、2013年時点で都内に約82万戸ある空き家の有効活用を提案。地域に必要な高齢者の住まいや医療・福祉拠点として空き家を積極的に活用し、推進するための方策として、建物改修への支援や家主に経済的なメリットが生じる仕組みづくり、規制や基準の見直しなどを提言している。
仕事と介護の両立支援については、家族の介護・看護のために離職する人が東京都で年間約9,000人以上にのぼることから、企業にゆとりある働き方ができる環境づくりを要請するとともに、行政にも家族介護者を支援する体制の構築を求めている。
◎東京都 福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議【最終報告】
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/shisaku/chiikihoukatsukaigi/saisyuu.html