結婚していた人が配偶者を失うと、その後の脳卒中発症リスクが高まることが、国立がん研究センターの研究により、3月28日、明らかになった。
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同センターは、研究開始時に既婚だった40~69歳の男女約5万人を平均15年間追跡し、婚姻状況の変化と脳卒中の関わりを分析した。
その結果、離別・死別などで婚姻状況の変化があった人ほど、脳卒中を発症するリスクが高い傾向が確認された。なかでも脳出血のリスクで強い関連がみられたという。また、これらの関連に性差は見られなかった。
一般に、既婚者は非婚者と比較して、健康状態がよいといわれる。
ところが婚姻状況が変化し配偶者を失うと、飲酒量が増えたり、野菜や果物の摂取が減ったりして、生活習慣に変化が起こることが、これまでの研究でも報告されている。また、心理的ストレスレベルが上昇し、生活を楽しめなくなる傾向にあることも示されている。
配偶者を失った後のこれらの変化が、脳卒中発症リスクを上昇させているのではないかと、同センターは分析している。
また、配偶者を失った人の脳卒中発症リスクを、同居する子どもの有無別にみたところ、男女とも同居する子どもがいる人ほど脳卒中の発症リスクが高い傾向が示された。「親」という役目が、配偶者を失ったことによる影響を加重していると考えられる。
就労の有無別では、無職の女性の脳卒中発症リスクが高く、特に婚姻変化があった無職の女性のリスクは、婚姻変化のない有職の女性の約3倍にものぼることが示された。
◎国立がん研究センター プレスリリース
http://epi.ncc.go.jp/jphc/773/3791.html