民主、維新、共産、生活、社民の野党5党は3月2日、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」(介護職員等の処遇改善法案)を衆議院に提出した。
2015年の統計調査によると、全産業の平均賃金33万3,000円(月額)に対し、介護・障害福祉従事者は、ホームヘルパーが22万5,000円、 福祉施設介護員が22万3,000円と、依然低い水準が続いている。
一方、有効求人倍率は、全職業の1.21倍に対し、介護関係職種は3.06倍と突出して高い。
法案は、賃金改善措置を行う事業者に助成金を支給するというもので、事業者は、
①介護・障害福祉従事者のみを対象に、平均して1人当たり月額1万円賃金を上昇させる
②介護・障害福祉従事者とその他の従業者の両方を対象に、平均して1人当たり月額6,000円賃金を上昇させる
のいずれかを満たせばよい。
予算規模は約1,777億円としている。
法案筆頭提案者の民主党の中島克仁衆院議員は、「安倍政権は1億総活躍社会の3本の矢のひとつとして、介護離職ゼロを掲げているが、2015年度補正予算や2016年度予算を見ても介護人材確保のための処遇改善に真剣に取り組む姿勢は見られない」「このままでは介護従事者の低処遇を放置してしまい、介護人材不足に拍車がかかる」と法案提出の意図を説明した。
安倍総理は1月下旬、一億総活躍国民会議で「介護離職ゼロ」実現に向け、保育・介護の人材確保、処遇改善の検討を始める考えを明らかにしたが、具体案は未だ提示していない。