日常経験する問題や出来事に立ち向かう人は、がん死亡や脳卒中のリスクが低下する―3月4日、国立がん研究センターがこんな研究成果を発表した。
研究では、生活習慣と病気との関係を明らかにするため、50歳~79歳を対象に、日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方をアンケート。その結果から、「対処型」(「解決する計画を立て、実行する」「誰かに相談する」「状況のプラス面を見つけ出す努力をする」)と「逃避型」(「変えることができたらと空想したり、願う」「自分を責め、非難する」「そのことを避けてほかのことをする」)に分け、約10年後のがんや循環器疾患のリスクを比較した。
がんの研究対象の5万5,130人のうち、追跡期間中に5,241人にがんが発生し、1,632人のがん死亡が確認され、以下の結果がみられた。
・対処型行動をとる人は、がん死亡のリスクが低く、なかでも「状況のプラス面を見つけ出す努力をする」人でがん死亡のリスクが低下した。
・全がん罹患では有意な関連はみられないが、対処型行動をとる人では、限局性がん罹患や検診でがんが発見されるリスクが高くなっている。
循環器疾患の研究対象の5万7,017人では、追跡期間中に304人に心筋梗塞、1,565人に脳卒中が発生した。さらに、191人の虚血性心疾患死亡、331人の脳血管疾患死亡が確認され、以下の結果がみられた。
・対処型行動をとる人は、脳卒中のリスクと、循環器疾患による死亡のリスクが低下した。
・「変えることができたらと空想したり、願う」対処戦略をとる人は、循環器疾患罹患のリスクが高い。
これらの結果から、対処型の行動をとる人は、積極的に情報を収集し、医療機関に相談する可能性があるため、早期発見・早期治療の確率が高まる可能性があるという。そのため、対処型の行動を日常培うことが重要だと分析している。
◎国立がん研究センター リサーチニュース
http://epi.ncc.go.jp/jphc/773/3782.html