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血液由来iPS細胞、パーキンソン病の病態研究・再生医療を促進―順天堂大と慶応大

順天堂大学と慶應義塾大学は、2月19日、血液から作製したiPS細胞を、効率的に神経幹細胞に誘導する技術を確立したと発表した。
順天堂大学医学部の脳神経内科の服部信孝教授とゲノムおよび再生医療センターの赤松和土特任教授、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授の共同研究による。
この技術を用いることで、パーキンソン病の詳しい原因の解明や、新たな治療法や医薬品の開発などが期待できるという。

順天堂大学と慶應義塾大学は、2012年、日本国内の研究施設で初めてパーキンソン病の患者からiPS細胞を作製し、病態メカニズムを再現することに成功した。
しかし皮膚の組織をメスで切り取って採取した線維芽細胞からiPS細胞を作製するため、患者の負担が大きく、研究の大規模化を妨げていた。一方で、血液の細胞からiPS細胞を作製した場合、皮膚生検によるiPS細胞と比べて、効率よく神経系に分化しないという問題があった。

今回、末梢血由来のiPS細胞の培養中の酸素濃度を低くすることで、皮膚線維芽細胞由来iPS細胞と同じように、神経系へ分化する培養方法を確立。ミトコンドリアの機能異常の再現に成功した。
これにより、適切な誘導方法を用いれば、通常の血液検査程度の量の血液から作製したiPS細胞で、神経難病研究を効率よく進めることができるようになった。
今後、この方法を用いて、順天堂医院に通院する数千人以上のパーキンソン病の患者の血液からiPS細胞を作製し、世界に例のない規模のパーキンソン病iPS細胞バンクを構築することで、パーキンソン病の病態研究・再生医療を促進していくという。

◎慶應義塾大学医学部　プレスリリース
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000001e0sn-att/160219_1.pdf