160/100mmHg以上の高血圧、あるいは37.5℃以上の発熱があると、高齢者は入浴事故のリスクが高まることが、東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授らの研究により、明らかになった。
今後、科学的根拠に基づいて入浴の可否を判断できるようになりそうだ。
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早坂教授らは、訪問入浴事業所2,330ヵ所について、入浴に関連する事故・体調不良(以下、入浴事故)の発生を調査。血圧の昇降または発熱があったために入浴事故と報告された事例は除き、596例の入浴事故を解析した。事故事例の平均年齢は82.3歳だった。
解析の結果、入浴事故が発生するリスクは、入浴前の収縮期血圧が160mmHg以上だと3.63倍、入浴前の拡張期血圧が100mmHg以上だと14.71倍に高まることがわかった。また、入浴前の体温が37.5℃以上の場合には、16.47倍まで上昇した。
入浴事故として報告された症状は、発熱100例(16.8%)、呼吸困難・喀痰喀出困難93例(15.6%)、意識障害64例(10.7%)、嘔吐・吐き気63例(10.6%)、外傷63例(10.6%)、血圧上昇46例(7.7%)、血圧低下46例(7.7%)、チアノーゼ・顔色不良36例(6.0%)だった。
これまで訪問入浴などの入浴サービスでは、入浴の可否について、血圧や体温の測定値に基づいて介護者が経験的に判断していた。しかし判断基準となる血圧値や体温値がこの研究ではじめて示されたことにより、今後、高齢者の様々な入浴場面で1つの判断基準として活用されることになりそうだ。
ただしこの結果について、早坂教授は、「入浴可否判断の絶対的な基準ではなく、最終的には個別に判断されるべき」だとしている。
◎東京都市大学グループ 学校法人五島育英会 プレスリリース
http://www.goto-ikuei.ac.jp/50press/2015/2016-0223-1559-15.html