厚生労働省は9月6日、第31回社会保障審議会介護保険部会を開催し、「給付と負担の在り方について」を議題として議論を行った。
介護給付と介護保険料の負担については、ケアマネジャーならずとも利用者、事業所、介護保険に携わるすべての関係者の最大の関心事と言っていいだろう。主な論点は、現在、公費50%(国25%、都道府県・市町村各12.5%)・保険料50%(1号保険料20%、2号保険料30%)という費用負担割合と、給付の在り方についての見直しに絞られ、各委員から活発な意見が述べられた。
冒頭、小西砂千夫委員(関西学院大学大学院経済学研究科・人間福祉学部教授)が、「“強い社会保障”を実現するためには、保険料の引き上げと公費投入の割合を現在の50%から引き上げる案を検討すべき」とした。また「安定的な財源確保のためには地方消費税の拡充が望ましい」が述べると、続いて河原四良委員(UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長)は、「引き続き処遇改善を推進していく上で介護報酬の引き上げは必要。しかし保険料は据え置きが望ましい。そのためには公費負担を60%にすべきだが、現政策が子供手当てに注力している限りそれも望めない」と現政権への不満を露わにした。そして「現状の被保険者の範囲拡大を検討すべき時」と、制度改革の都度話題には上る、2号被保険者の年齢引き下げについて触れた。
吉田昌哉委員(日本労働組合総連合会生活福祉局次長)は、「介護は本来年齢や事由を問うものではなく、65歳で区切ることに合理性はない」とし、「受給者範囲は“介護を必要とするすべての人”、被保険者は“医療保険加入者”とし、普遍的な制度を目指すべき」と介護保険普遍化に向けた連合の考え方を示した。
齋藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事・事務局長)も、「保険料負担の急激な増加を避けるためには50%を超える恒常的な公費負担の導入が必要」と公費負担の投入を提案。その理由として「現状でも概ね50〜55%のサービス利用実態のなかで、これ以上の利用料負担増は利用抑制につながりかねない」と利用料負担増に否定的な意見を述べた。
結城康博委員(淑徳大学総合福祉学部准教授)はさらに具体的に、「現状の公費負担割合は、保険料を40%台とすべき。そのための公費50%以上という制度改革が不可能であれば、保険料の大幅な引き上げもやむをえない」とした。その一方で「低所得者に対しては利用者自己負担1割以下といった措置も考慮し、現行の“社会福祉法人による生計困難者に対する利用者負担軽減事業”の改善・拡充も考えられる」とした。
勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)は、「 “高福祉を応分の負担で” という利用者の立場から、1割負担は堅持。不足分は公費負担割合を増やしては」と述べ、さらに「現状の介護予防事業は公衆衛生行政で行うべき」と語った。
後半では、給付の在り方についての各委員からの意見をレポートする。
――部会傍聴レポート2へつづく
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