製薬会社のブリストル・マイヤーズは、9月2日、新しい関節リウマチ治療薬「オレンシア」の日本での販売に伴う発表会を開催した。
「オレンシア(一般名:アバタセプト)」は、関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化およびサイトカイン賛成を抑制するT細胞選択的共刺激調節剤。国内の長期継続試験では、同薬が関節リウマチの症状を明らかに改善することが認められた。
関節リウマチは、手指やヒザなど、全身の関節に腫れや痛みが生じて、関節がうまく動かせなくなる疾患。症状が悪化するとものをつかんだり、歩行、立ち上がりなどに困難をきたすだけでなく、朝の手指のこわばりが強くなり、起き上がれない・動けないという症状も起こり、QOLが著しく低下するだけでなく、関節が変形や強い痛みに悩まされる。
日本では約60〜70万人の患者がいるとされ、これは170〜200人に1人という高発症率。また、女性の罹患率は男性の3〜4倍で、30〜50代の働き盛りに「関節リウマチ」と発症されることが多いのが特長。
今回の発表会では、同社代表取締役社長兼CEOのエマニュエル・ブリン氏が「ブリストル・マイヤーズにおけるオレンシアの意義」について挨拶、同常務執行役員 腫瘍・免疫部門長の杉本真一氏が「オレンシアの特性と販売体制」について述べた。
続いて、名古屋大学大学院医学系研究科成形外科学教授の石黒直樹氏が、「オレンシアの作用機序と臨床データ」について、40分にわたって解説した。
石黒氏は、国内での臨床データを基に「オレンシア」の特徴・メリット・優位性として、以下の6点を挙げている。
1)これまでの関節リウマチ治療薬にはかった新しい作用機序(T細胞選択的共刺激調節剤)
2)発症早期の関節リウマチ治療に対して完全寛解が期待される
3)既治療では効果不十分の患者を救う
4)高い治療継続性
5)海外で認められた安全性と使用実績(米国では2005年、欧州では2007年に承認)
6)4週間間隔、わずか30分での点滴静脈内投与
社会人として、あるいは主婦として母としても働き盛りの女性を襲う関節リウマチは、ADLやQOLを阻害する疾病であり、これまでにも様々な薬品が開発されている。しかし炎症はおさまっても機能障害の悪化を食い止めることはできず、どんなにすぐれた効果の薬品でも寛解率は50%程度だった。しかし「オレンシア」は、新しい作用機序により、初期の利用では完全寛解も期待できるという。
他の関節リウマチの生物学的製剤と比較しても、4週に1度、30分程度の治療で効果を得られるという投薬ストレスの少なさは、患者にとって、その効果とともに大きな福音となろう。
【商品概要】
■製品名:オレンシア点滴静注用250mg
■一般名:アバタセプト(遺伝子組換え)
■製造販売承認日:2010年7月23日
■製造販売:ブリストル・マイヤーズ株式会社
■効能または効果:関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)
■用法および用量:
通常、成人にはアバタセプトとして以下の用量を1回の投与量として点滴静注する。初回投与後、2週、4週に投与し、以後4週間の間隔で投与を行う。
体重60kg未満は500mg(2バイアル)、60〜100kg以下は750mg(3バイアル)、100kg〜は1kg(4バイアル)