冬季に増える入浴中の事故について、消費者庁が注意を呼びかけている。
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厚生労働省の人口動態統計によると、家庭の浴槽での溺死者数は、10年間で約1.7倍増え、2014年は4,866人だった。そのうち約9割は、65歳以上の高齢者が占める。
死因が溺水以外の疾病等と判断されたものも含むと、その数はいっきに増え、年間約1万9,000人もの人が入浴中に亡くなっているという。
入浴中の事故死は、12月から2月にかけて多く発生する。事故の原因の1つに気温が影響していることから、寒い日が続く今の時期は特に注意が必要だ。
消費者庁は注意すべきポイントとして、以下の5つをあげている。
①入浴前に脱衣所や浴室を暖める。
②湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にする。
③浴槽から急に立ち上がらないようにする。
④アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控える。
⑤入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらう。
①をする理由は、温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することで失神し、浴槽内で溺れるケースがあるからだ。脱衣所を暖房器具で暖めたり、浴室を蒸気で暖めたりして、気温差が大きくならないようにしたい。
③も重要だ。入浴中は体に水圧がかかっているが、急に立ち上がるとその水圧がなくなり、圧迫されていた血管が一気に拡張する。すると脳に行く血液が減り、脳が貧血状態となって、一過性の意識障害を起こすことがあるのだ。
本人が気をつけるのはもちろんだが、高齢者においては、家族や介護者が見守ることも事故を未然に防ぐうえで重要だろう。
◎消費者庁 ニュースリリース
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160120kouhyou_2.pdf