国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と国立大学法人北海道大学、国立大学法人大阪大学は、12月22日、アルツハイマー病などの初期診断に道を拓く細胞内タンパク質の凝集状態を計測する手法を開発したと発表した。
独自に開発した超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)を蛍光相関分光顕微鏡のカメラとして使うことで、分子の回転拡散運動の計測に成功したことによる。
蛍光相関分光法(FCS)は、蛍光の自己相関を利用して、細胞内タンパク質の拡散係数や分子間相互作用を求めることができるが、従来のFCSで用いられてきた検出器では、1μs以下の時間領域の信号は雑音に埋もれて観測することができなかった。1μs以下の時間領域を高精度に計測することが可能になれば、回転拡散による信号からタンパク質分子の形状を同定することができ、タンパク質2量体や3量体といったプリオンタンパク質の初期段階を検出できる可能性がある。
今回、SSPD検出器を蛍光相関分光顕微鏡のカメラとして使うことで、従来はノイズに隠れて検出できなかった、回転拡散による信号の検出に世界で初めて成功。これにより、凝集性タンパク質が原因となるアルツハイマー病やプリオン病など神経変性疾患の初期段階の超早期診断に極めて有効な手法となる可能性があるという。
◎国立研究開発法人情報通信研究機構プレスリリース
http://www.nict.go.jp/press/2015/12/22-1.html