国立研究開発法人放射線医学総合研究所(放医研)と株式会社アトックスの研究チームは、11月5日、認知症の早期診断につながる、ヘルメット型PETを世界で初めて開発したと発表した。
認知症診断に用いられるPET(陽電子断層撮影)は、早期認知症の場合、脳内のごく微量な原因タンパク質を検出するための感度や解像度が十分とはいえず、検出器を近づけて感度を上げようとすると解像度が劣化するという問題があった。また、従来の全身用PET装置は大型で高価なため、普及に限界があった。
今回、研究チームは、近づけても解像度を維持できる放医研の独自技術・3次元放射線検出器(DOI検出器)を、ヘルメット型(半球状)に配置した頭部専用PET装置を開発。
従来の円筒型の全身用PET装置と比較した場合、近接化により3倍以上感度が向上し、微量な脳内タンパク質の画像化も可能になった。検出器数も1/5に削減できたことで、高性能化と低価格化を同時に実現できる可能性もあり、認知症早期診断の普及に役立てられることが期待される。
◎国立研究開発法人放射線医学総合研究所 プレスリリース
http://www.nirs.go.jp/information/press/2015/11_05.shtml