独居で、かつ1人で食事をとる(孤食)65歳以上の男性は、誰かと一緒に食べる(共食)場合と比べて、うつを発症しやすいことが明らかになった。また女性の場合は、独居か同居かにかかわらず孤食がリスクになるという。
東京大学大学院医学系研究科の谷友香子氏が報告した。
研究では、全国24市町の要介護認定を受けていない男女37,193人について、孤食と3年後のうつ症状の発症について分析を実施。分析では、世帯および孤食に関する情報がない人、歩行・入浴・排泄に介助が必要な人は除かれた。
その結果、男性では独居で孤食だと、共食に比べて2.7倍うつを発症しやすいことが明らかになった。また女性では、同居か独居かにかかわらず孤食であることが、共食に比べて1.4倍リスクであることがわかった。
この結果を受けて同氏は、「高齢化に伴う世帯状況の変化に介入することは難しい」としつつも、家族や近隣の人達を巻き込んだり、あるいは自治体で会食やコミュニティレストランの開催などで共食を進めることで、高齢者のうつを予防できる可能性があると指摘している。
この研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)プログラムの一環として行われた。JAGESプログラムとは、健康長寿社会をめざした予防政策の科学的な基盤づくりを目的とした研究プロジェクトで、全国の約30市町村と共同し、14万人の高齢者を対象にした調査を行っている。
◎日本老年学的評価研究
http://www.jages.net/