少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、老後の生活への不安が高まっている。
名古屋大学大学院の角谷快彦特任准教授(経済学研究科)は、その不安の要因について、日本、米国、中国、インドで行った国際調査の分析を行った。
それによると、社会状況や社会保障制度が異なる4ヵ国において、3つの事実が認められたという。
1つは、老後の生活不安の大きさは、人々の将来に対する見方に左右されるということ。2つ目は、資産や所得といった財政的な余裕は、物価が安定している状況下でのみ将来不安を軽減するということ。そして3つ目が、子どもとの同居は、必ずしも65歳以降の生活の不安を軽減させないということだ。
老後の生活不安の要因については、国ごとに、次のような特徴もみられた。
■日本・米国
保有資産額が小さいと不安が増大。運動習慣は不安を減らす。また日本の場合は、年金で賄えると思われる生活費の割合が不安に影響しており、割合が高いほど安心につながる。
■中国
保有資産額の大きさや年金、運動習慣、家族構成など、検証したすべてが老後の不安に影響を与えない。将来への関心は、中国人が最も低い。
■インド
持ち家でないことが老後の生活不安を増大させる。住宅価格の上昇傾向が原因か。
◎名古屋大学 プレスリリース
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20151001_soec.pdf