若年性認知症の原因疾患の1つであるHDLS(軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症)を診断するための基準を、日本の研究グループがはじめて提唱した。
提唱したのは、新潟大学の今野卓哉医師、西澤正豊教授(脳研究所神経内科)と、池内健教授ら(遺伝子機能解析学分野)のグループ。
研究グループは、HDLSの臨床像と画像所見の特徴を系統的に抽出。その結果、HDLSが日本に多い疾患であることを明らかにした。
発症年齢は43±7歳で、死亡年齢は52±9歳、死亡までの罹病期間は5±3年と、比較的若年で発症し、進行が早いこと、また初発症状は認知機能障害が最も多く、次いで精神症状、運動症状の頻度が高いことがわかった。また頭部画像においても、白質病変のパターンや脳内石灰化病変などの特徴があることを見出した。
研究グループは、解析によって得られたこれらの特徴をもとに、HDLSの臨床診断基準案を世界ではじめて策定した。診断基準案は、発症年齢、臨床症状、遺伝形式などからなる主要項目と、支持項目、除外項目から構成され、definite、probable、possibleの判定基準をもつ。
HDLSは日本で比較的多い若年性認知症の病型であり、この診断基準によりHDLSが正しく診断される機会が増えると研究グループは期待を寄せている。