脳神経の産生に重要なBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる物質が、チョコレートの摂取によって増加することが、明治などが行った研究の結果より明らかになった。
うつ病やアルツハイマー型認知症の患者ではBDNFが不足することが知られていたが、チョコレートによって増加することが確認されたのは初めてだという。
また、動脈硬化のリスクが高い人ほど、チョコレートが炎症や酸化ストレスを減らし、動脈硬化リスクを低減させることもわかった。
この研究は、明治が愛知県蒲郡市および愛知学院大学と共同で実施したもので、7月17日に最終報告が行われた。
研究では、蒲郡市内外の45歳~69歳の男女347人に、1ヵ月間、カカオ分72%のチョコレートを毎日摂取してもらい、摂取前後の血圧や血液成分などの変化が検証された。
最終的に報告された、チョコレート摂取による効果は次のとおりであった。なお、チョコレートの摂取前後で、体重やBMIの増加、血液検査などに問題は認められなかったという。
・血圧が低下(血圧が高めの人ほど、正常な血圧の人より血圧が低下)
・善玉コレステロール(HDLコレステロール)が上昇
・精神的にも肉体的にも活動的になった(アンケート調査より)
・BDNF(脳由来神経栄養因子)が上昇する可能性を確認
・動脈硬化の検査などに使われる炎症指標(hs-CRP)と酸化ストレス指標(8-OHdG)が低下
ただし、この研究の対象からは、高血圧で降圧剤を服用している人、脂質異常症(高脂血症)の人、糖尿病の人が除外されている。これらの人については、チョコレートによる効果が期待できるとは限らないので注意が必要だ。