名古屋大学の長谷川好規教授(呼吸器内科学分野)らの研究グループは、成人肺炎に対する初期抗菌治療が適切であっても、死亡のリスクを高める5つの危険因子があることを明らかにした。
研究グループが示した危険因子は、以下の5つ。
・低アルブミン血症(<3.0mg/mL)
・自力歩行困難(肺炎発症前)
・pH <7.35
・呼吸数≧30回/分
・BUN(尿素窒素)値≧20mg/mL
研究グループはまず、関連施設で治療した579例の肺炎患者のうち、初期抗菌治療が適切であっても、10.5%の患者は30日間で死亡に至ることを明らかにした。
さらに、診断時において上記危険因子を多く有している患者ほど、死亡率が高まることを示した。死亡率は、危険因子が0もしくは1個の場合は1%前後であるが、2個になると16.8%、3個では22.5%、4~5個では43.8%まで高まることがわかったという。
この結果より、研究グループは、上記の危険因子を有する肺炎患者では、抗菌薬以外の治療も重要であると指摘している。
この研究結果は、英国科学雑誌『The Lancet infectious Disease』に7月3日付の電子版に掲載された。
◎名古屋大学
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