6月1日に開催された経済財政諮問会議において、財務省から提案された救急出動の一部有料化に対し、高市早苗総務大臣は慎重な姿勢をみせた。
財務省は、行政サービス効率化の一環として、軽症な場合の救急出動の有料化を提案している。救急出動件数が急増している一方で、搬送者のほぼ半数が軽症であることがその背景にある。一部負担を求めることで、約2兆円にのぼる消防費をできるだけ抑制したい考えだ。
高市大臣は「救急搬送は、高齢化の進展で需給状況の逼迫が続いており、地域によっては真に必要な傷病者の対応が遅れ、救命率に影響が出かねない状況になっている」と厳しい現実を述べた。そのうえで、有料化にはいくつかの課題があると指摘した。
1つは、料金徴収の対象者の範囲をどうするかということ。2つ目は、対象者の決定に医師による判断が必要なのではないかということ。そして3つ目が、料金の額や徴収方法をどうするかということだ。
これらについて議論したうえで、国民のコンセンサスも得る必要があると述べた。
消防庁は現在、緊急度や重症度選別のための「救急受診ガイド」作成や、住民の救急相談窓口設置や民間搬送事業者の活用などの検討・実施を行っているところだ。
高市大臣は、今後もこうした取組を更に進めていくとしたうえで、まずは消防本部に対し、軽症利用や不適正利用の実情や、有料化を含めた救急需要対策についてのヒアリングを行っていくという。
◎経済財政諮問会議
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/index.html