地域包括センター、直営化やケアマネへの委譲など――傍聴レポ2

厚生労働省は8月23日に開催した第29回社会保障審議会介護保険部会において、地域包括支援センターの機能強化や介護予防事業の見直しなどを議論した。

2006年度以降、受給者数・費用額ともに要介護者よりも要支援者の伸び率が高く、軽度者の増加が顕著な傾向について、軽度者へのサービスを介護保険外とすべきかどうかが問われたが、出席した委員らの間では現行通り保険給付を支持する声が多数あがった。

齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事)は「介護保険は“掛け捨て保険”という声がある。生活援助は外すべきではない。第2の後期高齢者医療制度のようになってしまう」と述べ、軽度者へのサービスを介護保険外とするなら国民に意見を問うよう同省に求めた。
木間昭子委員(高齢社会をよくする女性の会理事)も「軽度者への生活援助が重度化予防につながる」と同会に寄せられた意見を紹介しながら保険給付の維持を訴えた。

厚生労働省は、軽度者への予防サービスについて現状、機能訓練などのほかに見守りや配食といったサービスが手薄なことから、こうしたサービスを保険者の判断で実施し、予防給付か保険外サービスかにとらわれない総合的なサービスとして提供する方針を示した。

地域包括支援センターについては、全国に約4,000カ所の地域包括支援センターのうち直営が約3割、委託が約7割(2009年4月現在)を占め、同センター業務の約4割が介護予防ケアマネジメント介護予防支援関係に忙殺されているため本来の総合相談支援が行われていないとのデータが示された。また保険者が委託型のセンターに業務を“丸投げ”していることも指摘された。

これらの問題について、結城康博委員(淑徳大准教授)は、「予防給付のケアプランを通常のケアマネジャーに移譲し、地域包括支援センターケアマネジャーは数件のみの受け持ちに限定して居宅介護支援業務を可能にすべき」と予防給付関連業務の責任主体を通常のケアマネジャーとすることを2012年の改正の目玉とするよう求めた。

齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事)は「保険者による業務丸投げ防止を図るために各市町村に少なくとも1カ所は直営の地域包括支援センターを設置すべき」と求めた。
これに対し、川合秀治委員(全国老人保健施設協会)は「各市町村に1カ所、直営の地域包括支援センターを設置するのはどうかと思う。民間の力を活用しては。同センターが地域の諸機関とネットワーク構築ができないのはなぜか、問題点として記載するだけでなく理由を分析するべき」と述べた。

家族支援のあり方については、介護に関する情報や緊急対応できるショートステイの拡大、精神面でも負担軽減を求める声が多かった調査結果が示された一方で、家族支援事業を実施している保険者が半々であったことから、勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)から、「半分の保険者は家族支援をしていないということだが、生活援助を含め、家族への支援を進めれば制度全体の費用対効果に波及する」と家族介護者への支援の意義を訴えた。

次回の会議は8月30日に開催される。

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